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3.かやくの製造工程


 インスタントラーメンにとって具は、味わいと栄養バランスを高めるとともに、
「目で食べる楽しみ」をも満足させるという、食の大切な役割を担っています。
具そのものがクローズアップされるようになったのは、1971年(昭和46年)、
「カップめん(即席カップめん)」の登場からといっていいでしょう。
以来、さまざまな食材が具の原料となり、保存性を高めるために乾燥品や
レトルト品に加工され、製品の顔として、重要な役割を果たしています。





















①乾燥方法の種類

かやくの代表的な乾燥方法は次のとおりです。



ア. 熱風乾燥

 熱風をあてて乾燥させる方法で、現在、具の生産量が最も多い方法です。
小規模な静置型から大規模なバトン型まで、さまざまな方式がとられています。
主に野菜類を乾燥させます。


イ. 真空凍結乾燥

 カップめん(即席カップめん)の具に多く採用されている方法です。
通常、マイナス30℃で急速に凍結後、そのまま真空にして乾燥させます。
栄養価の損失が少なく、水やお湯での復元性に優れた具ができます。
たんぱく質を多く含んだ素材や香味野菜の乾燥に採用されます。


ウ.マイクロ波加熱乾燥

 高周波誘電加熱装置に具の材料を通過させ、内部からの発熱によって、
組織形成と乾燥を同時に行う方法です。卵の加工に利用されます。



②レトルト食品(かやく)の製法

 レトルト食品(食品衛生法で容器包装後加圧加熱殺菌食品という)とは、
「食品を気密性のある容器包装に入れ、密封した後、加圧過熱殺菌した食品
(昭和52年厚生省告示第17号)と定義されています。
加圧加熱殺菌とは、蒸気または熱水を媒体とする高圧釜で、耐熱性芽胞菌の
死滅温度で殺菌を行うことをいいます。
 殺菌温度は中心部の温度を120℃で4分間、またはこれと同等以上の効力を
有する方法で殺菌を行うことにより、常温で長期間の保存が可能となります。
通常の加熱殺菌食品とは区別されています。


③かやくの管理方法

 管理項目としては、大きさ、重量、水分、水分活性、微生物検査、復元性などの
ほか、色調、外観、風味、異物の有無などがあり、キメ細かなチェックが行われて
います。また、保存試験によるデータ分析でも品質の確認がなされています。



すばやく、おいしい”かやく”の秘密

 即席めんの”かやく”は、レトルトパウチの調理品もありますが、大部分は水分の
比較的少ない乾燥されたものです。これらのかやくには、熱湯に急速になじむなど、
即席性を付けるため次のような基本的な加工処理が行われています。

1.熱湯によくなじむようにかやく材料を適当な形や大きさにして表面積を大きくする。
2.湯で戻す時においしく食べられるように、前もってかやくの材料の味付け調理をする。
3.湯が乾燥かやくの組織に入りやすいように、なるべく多孔質に仕上げる。