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1.めんの製造工程

”こし”はここから生まれる


インスタントラーメンの製造工程は、その種類によって様々ですが、めんが
できるまでの工程はあまり違いません。

代表的な”めん製造工程”は下記のとおりです。


















①こね水調整

 食塩、かんすいなどを水に溶かす作業です。食塩は「めん質」や味のために、
小麦粉1kgに対し、通常10~30g。かんすいは中華めんの「めん質」と味のために、

1~2g(非油揚げめんは3~6g)程度が使われます。


②混合・練りこみ

 混ねつ機(ミキサー)で小麦粉とこね水を混ぜ合わせ、こねる作業です。
液量は小麦粉1kgに対し、0.3~0.4kg。液温は20~30℃。時間は15~20分。
ここでできあがった生地を「ドウ」といい、細かい網状の組織ができて、
めん質の”こし”を生み出します。


③めん帯形成

 生地を回転している2個のロールの間に通し、まず2枚のめん帯をつくり、そのあと
1枚にします。
この工程でめん帯を強く、均一にします。ロールの間隔が狭すぎると、めん質が
悪くなるため注意します。
また複合の前に、生地を一定時間熟成させる(ねかす)場合もあります。


④圧延

 厚さ10mm程のめん帯を圧延ロールにかけ、1mm前後まで薄くします。
2個1組のロールを4組以上組み合わせ、徐々に薄くしていきます。
ここでめんの網状組織を強化し、”こし”を強くします。
途中、100分の1mmまで測定できるゲージを用いて厚みの一定化を図っています。


⑤めん線切り出し

 圧延後、めん帯を切り出し機にかけます。切刃が回転して、めん帯はめん線に
なります。中華めんは主に18番から22番、和風めんは10番から26番という刃を
使います。


30mmの幅に18本の刃があるものが18番で、1本のめん線の幅が約1.67mmと
なります。中華めんの多くはウェーブがかかっていますが、それはこのあとの
工程がうまくいくように波型を作る装置と補助コンベアーなどによってつけられる
ものです。


⑥蒸熱

 大部分のめんは、連続蒸し機を通して蒸熱します。通常なら100℃の蒸気で
1~5分間蒸します。ここでめんの中のでんぷんが消化できる状態となります。
(アルファー化)


⑦型詰め

 多くはここで切断、型詰めします。めんを40~70cmに切断し、棒状乾燥めん以外の
ものは、丸型か角型の金属枠に1食ずつ入れて成型します。


⑧乾燥処理

 主に「油揚げ」か「熱風乾燥」のいずれかの方法で乾燥させます。

「油揚げ」は、めんを金属枠ごと140~160℃の揚げ油に入れ、1~2分通過
させます。生地の段階で30~40%あった水分がここで3~6%になり、でんぷんの
アルファー化がさらに進みます。

「熱風乾燥」の場合、やはり金属枠ごとに熱風乾燥機にいれ、80℃前後の熱風で
30分以上乾燥させます。この方法によるめんを、非油揚げ乾燥めんといいます。
このふたつ以外に、「真空凍結乾燥(フリーズ・ドライ)」などの処理方法もあります。


⑨冷却

 乾燥処理後、100℃以上になっためんに冷風を吹きつけ冷まします。このあと、
重量・形・色・乾燥度・油揚げ状態・冷却程度などについて検査を行い、基準を
みたさないものを取り除きます。


⑩包装

 できあがっためんは、別添の調味料やかやくとともにフィルムで密封するか、
または容器に入れてから、アルミなどの蓋材で密封し、のちに収縮フィルムシートで
包装します。



インスタントラーメンが波打っている理由とは 

 めん線にウエーブをつける方法は、村田良雄氏が考案した特許「屈曲麺の製法」
に基づいたものが一般的に行われています。
すなわち、切歯(めん帯をめん線に切り出すため、ロール表面に凸凹の相互に
かみ合う溝をつけた一対の回転刃)の直下にウエーブ・ボックスと称する
ステンレス製の直方体の狭い幅をもった導管を装着します。

そしてめん帯が切歯を通過してめん線に切り出されるスピードを仮に1分間
50~60cmとし、ウエーブ・ボックスを出たところに受けているウエーブ・コンベアー
のスピードを1分間5m程度とゆっくりにすると、めん線は行きどころがないので
波形に屈曲せざるを得ません。
これをウエーブ・ボックスが一定方向に整列させる働きを持っているので、整然とした
波形がめん線に物理的に付けられます。決して食品添加物による化学的作用に
よるものではありません。



インスタントラーメンが波打っているのは、次のような理由によります。


  1. めん線相互の固着を防止し、ほぐれやすくするため。
  2. 蒸熱や・油揚げ・乾燥などの各製造工程で”ムラ”なく加熱・乾燥効果を出し、均質なめん質をつくるため。
  3. めんの調理(カップめんの湯戻し)を早く、”ムラ”なく進めるため。
  4. スープやたれのめん線への乗り具合を高め、めんとスープの味の一体感をかもしだすため。
  5. めんをすする時の口当たりやのど越しの感触をよくするため。
  6. 製造工程または輸送中の外部からの機械的な力によりめん線の折損を防ぐため。
  7. 調理用のなべやカップ容器の形にコンパクトにマッチさせるとともに、適当なサイズの容器包装に入れて資源の節約を図るため。